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「どうしてこんなことに……」
夕方。
まだ勤務中に突然院内放送で名前を呼ばれ、事務局を訪れると、自宅が火事になり、妻が別の病院に搬送されたと告げられた健は、着替えることすらせずに、タクシーに飛び乗り、搬送先の病院へと向かった。
到着した時には、妻は既に息を引き取った後。
近隣住人は共稼ぎの家が多くて通報が遅れたことと、思いの外、火のまわりが早かったこと。
それに、有加里が昼間から独りで飲酒と共に、睡眠薬を服用していたことが最悪の結果を招いた。
「なんで彼女は睡眠薬なんて……」
「奥様は一年ほど前から睡眠薬を常用していたようですね」
「一年っ!?」
「ええ。△□病院の診療内科へ不眠症で通院していたようです」
「不眠症……」
何も知らなかった様子の健は、深い悲しみに包まれ、ガックリとうなだれた。
そんな彼に警察から同情のこもった眼差しが向けられる。
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