32人が本棚に入れています
本棚に追加
こうして理美と日本語で話しながら囲む
食卓は賢一を安堵させた。いくら会話に
困らなくても外国語での食事は緊張する。
パリにいた頃は例え箸で和食でも形容
し難い違和感があった。
片付けようと立ち上がった理美を賢一は
制した。
「ここは俺がやっておくから、風呂入って
きたら? 忙しかったろ?」
理美は頷いた。
「有り難く頂戴します。」
聞こえてくるシャワーの音にあの夏が
フラッシュバックした。濡れた理美の
身体をバスタオルに包(くる)んでベッド
ルームに連れて行った、蒸し暑い夏の
夕暮れ。
最初のコメントを投稿しよう!