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賢一はバスルームに飛び込みたい衝動に
駆られた。身体が熱くなり心拍数が
上がった気がする。その欲求を抑えようと
彼は二階へ上がっていった。
灯りの燈らない寝室でベッドに身体を投げ
出した。冷たかった。過ぎ去った長い
時間を埋めたいと心が逸る。彼は自嘲して
目を閉じた。
「賢、寝ちゃった?」
理美が寝室へ上がってきた。
「いや、起きてる。」
「どうしたの?」
「急に昔のことを思い出した。おまえが
初めて鵠沼に来た日のこと。」
「…若かったよね。」
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