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「ほら、去るものは追わずじゃない。」
図星を刺されて賢一は一瞬絶句した。
「…引っ越したなら片付けは?」
「明日友達が来て手伝ってくれる。」
「無理するなよ。」
「若くないから、ね。」
理美は小さく笑った。
「新年早々離婚か。」
「結婚したのは厄年。」
「本厄?」
「そう。三十三歳。」
「気にならなかったのか。」
「うん。」
だって、その前の厄年にはあなたと
出逢ったもの。
「ごはん先にする?」
「いや、先に風呂入ってくる。」
「了解。」
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