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バスタブに身体を沈めて賢一は考えていた。
何が理美の夫に離婚を決意させたの
だろうか。妻に男の影を感じたのか。それ
とも自分が女を作ったのか。或いは
まったく違う理由か。いずれにしても一度
連れ添った相手との関係を解消するには
それなりに大きな決断を要するはずだ。
しかし、あれこれ考えたところで所詮は
他人事。真実などわかるはずがない。寧ろ
時間を気にする必要がなくなってラッキー
だと、軽く考えたほうが良いのかも
しれない。
風呂から上がった賢一がパジャマの上に
カーディガンを羽織ってダイニングの席に
着くと、理美はスパークリングウォーター
のボトルを開け、ピカルディのグラスに
注いだ。
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