幼馴染はヒーロー

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 ――閑話休題。  俺はハチを退治した「本物のヒーロー」を知っていたので王子が皆にちやほやされているのが面白くなくて、幼い正義感から本当のことをバラそうとした。  ヒロも間違っているし、他のやつらも間違っていると、俺は憤(いきどお)っていた。  しかし、真実を明かそうとした俺を肝心のカッキー本人が止め、しかも固く口止めされたのである。 「いう、ダメ。いう、イヤ。いう、…おれ、おこる」 「なんで、いっちゃ、だめなんだよ…!」  みんなをハチから守ったのは、カッキーだったのに。  だが、あまりに早業過ぎて、パニックを起こしていた他の子供の目にはカッキーがハチを退治したことがわからなかったのである。  ヒロを守ったのもカッキーだったし、他の二匹もカッキーが倒したのだ。  その証拠に、  床に落ちていた二匹の死骸から少し離れたところに折れたクレヨンが二本転がっていた。  そしてカッキーのクレヨンケースから、黄色と白色のクレヨンが二本消えてなくなっていた。  それがどういうことか、俺にはすぐにぴんときた。  ――本物のヒーローはカッキーだ。  俺はくやしくて仕方なかったのに、ヒロ王子が他の園児たちにヒーロー扱いされ、もてはやされるのを目にしてもカッキーはなにも言わなかったし、興味もないようだった。  ……それどころか、手柄を横取り(?)されたことにほっとしているような素振りすらあった。  ヒロ王子はそんなカッキーをいつも何か言いたげな眼差しで見ていた。  王子が傍に寄ってくるとさりげなくカッキーは王子から逃げ出した。  そのたびにしょぼんと肩を落として哀しそうな顔をするヒロ王子はちょっとかわいそうではあったものの、内心ざまぁみろと思ってもいた。性格悪くてすまんな。  ……だって、悔しかったし納得できなかったんだから仕方ない。
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