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私の日常
暖かい春の朝、私の働いている雑貨店「ポッタリー・ファーム」へと急ぎ足で歩く。急いで
いるのではない。ただ、早く歩くのが好きなだけ。私は大切なことにしっかり時間をかけて、
無駄な時間はできるだけ省きたい。友達にはいつも、『たまには立ち止まってバラの香りを嗅
がないと。』と言われる。
同じような大きな家を何件も何件も過ぎ、橋のかかった大きな池の前で曲がる。池とは言って
もほんとは湖で国立自然公園の真ん中にあって、ここの角度から見ると池に見えるだけだ。この湖はここから見るとかの有名なモネの絵に似ていてとても気に入っている。左を見ると何件
もの家が建っていて、前を見ると沢山の大型店舗が立ち並ぶ。けれど右を向くと、美しい自然
が広がっている。本当に不思議だ。湖の前を通る時だけはいつもの急ぎ足がゆっくりとしたス
ピードに変わる、なぜか心が落ち着くのだ。湖の前を通る時は何かを思い出さないといけない
きがする。
湖と私の思いを後ろにしベーカリーを過ぎると、どんと大きく「ポッタリー・ファーム」があ
る。ここが私の職場、大学に行きながら3人の親友とともに働いている。
自動ドアが開いて中に入ると先についていたボブとピートとメア
リーに挨拶をする。この3人は私と一緒で2年前にここで働き始めた仲間だ。初日から息ぴっ
たりで、それからはいつも行動を共にするようになった。後で気づいたのだが、同じウエスト
ウォータリッジ大学に通っている。挨拶をし終えると店の奥の職員休憩室兼ロッカールームに
入り制服のエプロンに着替える。
「やあ、エミリー今日もキュートだね。」
「もう!ピートは毎朝そればっかり。」
ピートはいつも私をからかっている。正直ちょっとウザい、でもこれがなければ気持ちいい1
日が始められない。ピートは何も真剣に捉えずに、ポジティブに毎日を過ごしているらしい。
「ヤッホー、メアリー今日私の当番なんだったけ?」
「エミリーしっかりしてよ!毎日私に聞いてるでしょ、いつになったら覚えられるのよ。」
メアリーは私たちのグループの中でのしっかりもの。私たちがいつも頼っているから、ちょっ
と呆れてるみたいだけど、本当は嬉しいらしい。どんなに厳しい状況でも必ず解決策を持って
いる。誰にも知られたくないらしいけど、負けず嫌いだ。
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