~ある雨の日のお話~

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 この子は、知らない。  自分の言葉がどれだけ俺を救い、自分の存在が俺をつくりあげているのかも。  無しか持ち合わせていなかった俺は、この幼い少女とともに「レイン」という人間になっている。  同じように、クレアという人間の中に――俺もいたらと、思ってしまった。  守護者と、依頼者。  俺とクレアの関係はそれだけだ。だけど、このままこの子とともにあれば、変化していくのかもしれない。  それがひどく億劫で気がかりで――けれど、少しだけ楽しみなのは、まだ黙っていよう。 .
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