キッチンにて。

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二十歳を越えて未だそういった経験のなかった私を高嶋さんはとても大切に扱ってくれた。 だから何も怖くなかったし、寧ろそれまでこんなにもモテる人が本当に私の事を好きなのかなと不安に思う事もあったけど、 この夜、高嶋さんからの愛情を漸く実感する事が出来た。 「起きた?」 明け方まで高嶋さんに翻弄されていた私の体はまだ熱が残っていて、窓から差し込む陽の光にぼんやりと目を開けると高嶋さんの顔が目の前にあった。 「うわっ、ち、近い…。」 それに腕枕だし……密着度が半端ない。 「フッ…、近いって。昨夜、もっと密着してたでしょ?あっ、昨夜じゃなくて今朝までか。」 イケメンは寝起きでもイケメンなんだなとつくづく思う。 じっと顔を見つめる私に 「なに?まだ、足りなかった?」 ニヤリと笑いながら高嶋さんが言う。 「た、足りてます。……十分、足りました。」 何もかもが初めての事だし、男の人の腕に抱かれながら目覚めた事も当然、初めてで、ただただ恥ずかしい。 顔を赤くして全力で照れる私に 「……可愛いなぁ、ミチル。無自覚なのそれ?」 「それ?」 「そう、それ。そんな潤んだ目で見つめないでよ。俺、盛りのついたネコみたいじゃん。」 そう言いながら私に覆い被さってくる。   そして目元にチュッと音を立ててキスを落とすと次は唇に軽く重ねられた。 「体、キツくない?」 「えっ……、その……少しキツーーー」 キツいかも…って言おうとしたらまた唇に軽くキスされ 「ごめん、足りないのは俺かもーーー」 という言葉とともに今度は深く口付けられた。
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