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落ち着きを取り戻そうと一人ベッドに寝転びながら見慣れない天井を見つめる。
「私、お泊りしたんだ……。」
その事実に少し落ち着きつつあった嬉しさと恥ずかしさが再び込み上げてくる。
やっぱり朝食は私がーーー
私は重い体に勢いつけて起き上がると、ベッド下に投げられていた高嶋さんから借りた長袖シャツと短パンを着て漸く寝室を出た。
「ん?どうした、ミチルもシャワーする?」
寝室からリビングに出ると、どうやら高嶋さんは先にシャワー浴びていたようで髪をタオルでガシガシ拭きながらバスルームからやって来た。
スェットの下だけ履いて上半身裸の高嶋さんに目のやり場に困る。
「い、いえっ、シャワーは大丈夫で、す。あの、キッチンお借りして良いですか?」
目を背けながら聞くと
「ミチルが作ってくれるの?」
「……はい。大したものは作れませんが。」
相変わらず目の前の高嶋さんを直視できず顔を背けたまま答えると
「て言うか、もうお互いの体、全部見せ合ったんだし、そのリアクションおかしくね?」
と高嶋さん。
「み、見せ合った…とかっ。そんな見る余裕なんてなかった…じゃなくて、私が作りますからここでゆっくりしててください。」
「そっ。じゃあ、任せようかな。冷蔵庫の中の物好きに使っていいから。」
楽しみだな、と言って私の頬にチュッとすると着替える為か寝室へ入って行った。
チュッとされた時に濡れた髪の感触を感じてそれだけでまたドキッとしてしまう。
職場では決して無愛想という訳ではないけれど、どちらかと言えばクールな高嶋さんの甘い甘い攻撃に既に撃沈しそうな私。
しかし、ここで沈んでしまう訳にはいかない。
高嶋さんと初めて迎えた朝だもん。
美味しい朝食を作らなきゃ。
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