56人が本棚に入れています
本棚に追加
クラス発表の掲示板を見て、2年3組の教室に向かった。
「桐島おはよー。」
指先がジェルで光る手をひらひらさせながら話しかけてきたのは、確か園田?
「見ちゃった!桐島って外語の奴と付き合ってるの?」
朝イチ好奇心で瞳がキラキラしてる女子ってムダに元気よね。
「近所の幼なじみ。カレシ違うし。」
「ホントに?実は相談あるんだ。」
グイグイ腕を引っ張るように廊下脇の死角スペースに連れて行かれた。
「園ちゃん桐ちゃん、お待たせ。」
つけまバシバシ、ツインテールが激しい鈴木がスマホ片手に登場した。
って、いきなり“桐ちゃん″
「鈴ちゃんが玉木くんのこと好きなんだって。玉木くんは告る女は数知れずいるのに誰ひとり付き合わない硬派イケメン。カレシじゃないなら協力して?」
うーん。正直関わりたくない。
「私ね、玉木くんと話してみたいの。」
謙一は家業の和菓子屋で精一杯なだけで部活もしていない。親しい友達なら誰しも知ってる事実なんだけど。
「謙一は土日は多忙だから誘っても無理そう。平日の放課後にお茶する?」
無難な路線で提案してみた。
「キャー!ホント?するする。」
「園田さんも来れる?」
園田は素早くスマホを取り出して言った。
「もち。塾の日以外でお願い。」
鈴木もスマホを手にしながら、
「ライン交換しよ?」
「ごめん。スマホうちに置いてる。」
「ええっ!?嘘ぉおおっ?」
「ひえぇ~アリエナイ!」
ムンクの叫びばりの雄叫びが辺り一面に響いた。
最初のコメントを投稿しよう!