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教室へ歩き始めるけど、すれ違う同級生たちのまとわりつく視線にドキドキする。
園田や鈴木は学年の人気者だ。1年の時から目立ってたし、男子の中には意識し過ぎてしまう人もいるくらい美しい。
「園田さんと鈴木さんって……
「園ちゃん。」
「鈴ちゃん。」
ふたりが両脇から強い視線を浴びせた。うっ。目が本気と書いてマジ。
「ほら桐ちゃん呼んで?」
「早く早く♪」
廊下の隅に追いつめられちゃった。壁ドンWが美女ふたりって、ある意味ゼイタクかも。
「園ちゃん。」
よしよしと頭を撫でる園ちゃん。
「鈴ちゃん。」
ポンポン肩を叩く鈴ちゃん。
「桐ちゃん教室行こ?」
「えっ、ふたりとも3組?」
満面の笑みで頷き、窓側の席を確保しようとダッシュした。
教室のドアは予め開いていた。
「ええっ?イマドキ決まった席なんてダサっ。」
鈴ちゃんが眉間に皺を寄せたのがカワイイ。園ちゃんが指差した黒板を見ると、出席番号順に座れと書いてあった。
わたしの席は後ろから2番目。わたしの次に小林さんが座ると、鈴ちゃんが最前列となり、その後ろが園ちゃんになっていた。
「桐ちゃんこっちこっち。」
「遊びに来てよ?」
ひらひら手を動かしながら、わたしを呼ぶしぐさが嬉しい。リュックを置いて側に行くと、話が続いて途切れることがなかった。
「高1ん時ボッチだったでしょ?ずっと桐ちゃんに興味あんの。ね?明日学食行こ?」
ふたりの勢いにのまれて学食に行く約束をしたら、チャイムが鳴った。
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