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第20章 告 白
携帯電話の接続音が、すごくもどかしかった。
社長のお見舞いを終えて、美佳さんと病院で別れてから
ずっと僕は、ナッちゃんが泣いているような気がして気が気じゃなかった。
だから、自然と僕の足は彼女のマンションへと向かっていた。
だがもちろん、彼女がマンションに戻っているという保証はない。
しかし、もし戻っていなくても
僕は、彼女が帰って来るまで、ここで待っているつもりだった。
そして今、僕はマンションの正面玄関の前で電話を耳に当てている。
耳に届く音が呼び出し音に変わって間もなく、ナッちゃんの声が届いてきた。
「冠くん?」
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