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まるで、自分の獲物を誇示する肉食獣のような目。
それに見据えられ、私は、ちょっと声が出なくなる。
そして、彼女が座っていた場所の目の前から出て来た人の姿に、
私は更に声をなくした。
「美佳さん?」
耳に馴染む、よく知った声。
しなやかな細い長身に、よく知る大きな手。
そして、ふんわりとした陽だまりのような微笑み。
どれも、これも、私のよく知っている冠くんなはずなのに
彼の声が呼んだのは、彼女の名前。
目の前が暗くなるような衝撃に、気付いた時には駆けだしていた。
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