第19章  モ ズ(つづき)

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「ナッちゃんっ!」 彼の大きな声が、背後からする。 けれど、止まれない。 ぐちゃぐちゃになった頭の中が、どんどん真っ白になっていく。 その中を、ただリフレインするのは彼女の言葉。 だから、返してもらうことにしたわ、彼――。 苦しい。 胸も、喉も、心も、みんな苦しい。 そして、苦しさに押しつぶされそうになりながら走る私の腕が 強く掴まれた。 「待って、ナッちゃん!」
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