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週末で賑わう広めの歩道をさんざめく人影に
見え隠れする彼女の背中を見詰めて、必死で追う。
本当は、もっと声をかけて呼び止めたい。
でも、そんな事をすれば、益々彼女が逃げそうで声が出ない。
早く。もっと早くっ!
歩道で楽しむ人々とぶつかりそうになりながら、僕は彼女の背中を追った。
そして、
「待って、ナッちゃん!」
肩で息をする彼女の腕を、ようやく掴むことができた。
そして彼女の前に回り込み、彼女を覗き込むようにして言う。
「お願い、誤解しないで。ちゃんと話させて」
途端、彼女の目から涙が溢れだした。
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