第19章  モ ズ(つづき)

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だから、 「ナッちゃん、僕……」 今日は、お見舞いには行かない。 そう言いかけた時、涙を収めた彼女が顔を上げた。 「冠くん、ごめん。私、ちょっと驚いただけ」 「でも……」 言いかける僕に、彼女は、赤い目をしたまま微笑んでくる。 「大丈夫。ちょっと色んな事がフラッシュバックして、 パニックになっちゃっただけ。ちゃんと、冠くん信じてるから」 だから、行って? そう言ってくる彼女に、僕はかぶりを振った。 「こんなナッちゃん、一人で置いて行けない」 しかし、今度は彼女がかぶりを振った。 「お世話になった方なんでしょ? ちゃんと行かなきゃ。 行って、立派になった冠くん見せて、安心させてあげて」
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