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「まだ契約を取り交わしていないからニャ、話す必要はない」  真の姿を言い当てられた『魔獣』は、素直に契約の言葉を待つと聞いていたけど態度悪いなぁ。まあいいわ、切り札はあたしが握ったんだもの、どうせ逃げられない。 「それなら今ここで契約を取り交わす! 『桃猫ロセウム』、汝が真実の姿を得るために我は力を尽くすと約束しよう」  そっぽを向いている桃猫に、あたしは大きな声で契約の言葉を叫んだ。すると桃猫は、反射的に直立不動の体勢になる。 「我は契約に従い、真実の姿を得るまで汝に従うことを誓おう」  返礼した桃猫は、肩を落として大きくため息をついた。 「はあぁぁ……しかたニャい、背中に乗れ」  シロンが先に飛び乗り、手を差し伸べてくれた。少しは見直してくれたのかな、照れちゃうけどすごく嬉しい。あたしはフワフワして暖かい桃猫の背に乗ると、チームエンブレムのついた革ベルトを首に回して取り付ける。 「さてと、どこに行けばいいのかニャあ?」 「もちろん、『イグドラシル(世界樹)』の頂上よ!」 「了解!」  一足で桃猫は、空高く舞い上がった。
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