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 適性を認めて貰って弟子になり、ゆくゆくは十三賢者に名を連ねることが出来ればクラリッサの鼻をあかせて気分が良いだろうなぁ……まあ、あたしの成績じゃ多分無理だろうけど。  ホールをあとにするクラリッサの背に心の中で悪態をついた時、突然、会場がざわついた。 「なに? 勝負、ついたの?」  あわてて振り返ったあたしは、前に立つクラスメイトを押しのけて競技場を見た。そして思いもよらなかった光景に、愕然とする。  半身を起こした姿で床に倒れているシロン。その喉元には、ライハルトのサーベルが突きつけられていたのだ。いやらしく口元をゆがめ、蔑んだ笑みを浮かべるライハルト。肩を落とし、うつむくシロン。 「うそっ、ナンでこうなるの? さっきまでシロンが……いったいどういう事よっ!」  近くにいた同じ『ひろいっ子』のクラスメイトを捕まえ、あたしは額を突きつけて状況説明を迫った。ちょっと天然で、のんびり屋のイータ。あたしと気の合う友達だ。 「落ち着いてよぅ、サイ。確かにシロンが優勢ぎみだったんだけど、一瞬、動きがおかしくなったのぉ」  小柄なイータは、小さな目をしばたかせながら怯えたように言葉を震わせる。 「おかしくなったって?」  あたしが身体を引くと、ホッとしたようにイータは大きく息をついた。 「うぅんとねぇ、そう、何かに気をとられて注意がそれた感じ。目にゴミが入ったんじゃないかなぁ、そんな動きをしたような気がするんだけどぉ」  それくらいのことでシロンが負けるなんて……納得できない! こうなったら、直接本人を問いつめなくちゃ。 あの嫌みなライハルトをやり込めてくれると期待してたんだから。  だけど退場するシロンの背中が震えているのを見て、あたしの胸にいい知れない感情の渦が巻き起こる。悔しそうだな、シロン……。 「そんな事よりぃ、決勝戦が始まるよ。サイはオーギュ様を応援するって張り切ってたじゃない」  あっ、そうだった! 憧れの君、オーギュ様。プラチナブロンドの眩しい髪、涼しげなエメラルドの瞳、気品あふれる鼻梁、優しい笑みを絶やさない口元。『時の賢者シグルス』様の血を引く一族に、相応しきお姿。
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