第四章 絶対に助ける

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今では立ち入り禁止となっている旧校舎一階、最奥の教室で麻衣はクラスメイトの女子四人と一緒だった。 正確には左右二人から腕を押さえられ、一人はスマホでカメラを回し、もう一人がハサミを持って麻衣の髪を切ろうとしていた。 「美奈ちゃん、なんでこんな事するの?痛いよ。髪切らないで、お願い」   無駄と知りつつも麻衣はクラスメイトの美奈に懇願した。 「『カミキラナイデェ、オネガイー』だってよ!かわいこぶってんじゃねぇよ!クソブタが!美奈が高野君の事好きなの知ってて、色目使いやがって!女の友情より男とったらどうなるか教えてやるよ!」 「それ、誤解だよ。高野君とは席が隣なだけで、高野君忘れ物多いから先生が教科書見せてやれって。それに私、今は男子なんかに構ってる状態じゃないから…」 「ハァ?なにそれ。じゃあ、まるで美奈が男好きで、麻衣はそんなの興味ありませんとか言いたいの?馬鹿にすんな!もうキレたから!髪切るのはさすがにかわいそうだと思ってたけど、マジ切るから!ちょっと、あんた達ちゃんと麻衣押さえててよ。それから動画もしっかり撮ってよね!後でネットにあげてやるんだから!」 胸まである長い髪に開いたハサミがあてられた。 麻衣は「ママ、助けて」と呟き固く目を閉じた。
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