第四章 絶対に助ける

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「麻衣!見つけた!」   校庭から走って走って、麻衣の声が一番強く聞こえる古い校舎1階、外側のガラス窓の向こうに、麻衣を見つけた。 今にも髪を切られそうな麻衣。 今から走って中に行っても間に合わないし、髪だけで済むとも限らない。  ガラス窓を開けようとしたが鍵がかかって開かない。   やめなさい!と大声で怒鳴ったが、声は中まで届かない。 どうしようも出来ない、目の前の娘の危機にキレた美恵子は狂ったように、窓枠を揺さぶり、手のひらでガラスをバンバンと叩いた。 あいつらがこの音に気付き窓を見れば、人がいる事に驚いてハサミを捨てて逃げるかもしれない。それに賭けるしかなかった。
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