42人が本棚に入れています
本棚に追加
「麻衣!見つけた!」
校庭から走って走って、麻衣の声が一番強く聞こえる古い校舎1階、外側のガラス窓の向こうに、麻衣を見つけた。
今にも髪を切られそうな麻衣。
今から走って中に行っても間に合わないし、髪だけで済むとも限らない。
ガラス窓を開けようとしたが鍵がかかって開かない。
やめなさい!と大声で怒鳴ったが、声は中まで届かない。
どうしようも出来ない、目の前の娘の危機にキレた美恵子は狂ったように、窓枠を揺さぶり、手のひらでガラスをバンバンと叩いた。
あいつらがこの音に気付き窓を見れば、人がいる事に驚いてハサミを捨てて逃げるかもしれない。それに賭けるしかなかった。
最初のコメントを投稿しよう!