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「麻衣、け、怪我は、ない?髪は?髪は大丈夫?」
「ママ…、ママが助けてくれたんだ…。ママ、ママ恐かったよ。でも、ママが来てくれた。ママ、ママありがとう。大好きよ、ママ」
最近ずっと口をきいてくれなかった麻衣の、久しぶりに聞く『ママ』の声に美恵子は嗚咽が止まらなかった。
「ねぇ、ママ、いつ退院できたの?こんなに早く外に出て体は大丈夫なの?今日は家に帰って来れるの?」
麻衣は美恵子が驚く程に泣きながら、それでも嬉しそうに美恵子に聞いた。
「退院?体?麻衣、何言ってるの?」
美恵子の答えに麻衣も不思議な顔をする。
その時、美恵子の後ろには、いつの間にか田中が立っていた。
「美恵子さん、そろそろ行きましょうか」
「え?どこへ…?」
言い終わらないうちに美恵子は、何か大きなものに頭を鷲掴みにされ、今までに感じた事のないスピードで空高く引き上げられていった。
「ママ!」
麻衣は空を見上げ唇を噛み、窓枠を飛び越え学校を飛び出した。
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