第五章 真実は…

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美恵子の夫に最後の治療法について説明をすると、それを試してみたいと回答があった。 ただし娘の麻衣には内緒にしたいと。 母親が目覚めるかもしれないと期待を持たせてもしだめだった場合、今の麻衣にはそれを乗り越える強さは無い。 今まで気丈に振舞っていた分だけ、その反動で心が壊れてしまうかもしれないからと。 田中は娘を心配する父親のやつれた姿を見つめ、麻衣には言わずに治療を進める事を約束した。 麻衣以外の美恵子の親族が病院に集まった三か月前のあの日。 実験段階のその装置を真ん中に、額とこめかみに脳波用電極を付けた美恵子と田中が左右二台のベッドにそれぞれ横になっていた。 「治療を始めます」 装置の研究チームのスタッフの言葉に田中は苦笑する。 これを治療と呼ぶべきか、実験と呼ぶべきか。 だがすぐに表情を引き締めた。 これに賭けるしかないのだ。 そう改めて覚悟を決めた直後、田中の意識が空高く引き上げられ、猛スピードで美恵子の意識に向かってダイブを開始していった…
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