第五章 真実は…

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「まさか…信じられない。だって私はこの一年普通に生活してたのよ?麻衣がだんだん喋らなくなって、悩んで、そして秋の風か気持ちよかったあの日バス停の近くで田中さんと会った。それに髪を切られそうになった麻衣を助けたわ。それは麻衣も知ってる」 「そうね、確かに美恵子さんは脳内で一年間、いつも通りに生活を送ってたのかもしれない。でも、おそらくそれは麻衣ちゃんが毎日病院に来て、ずっと美恵子さんに語りかけてたから、それが刺激になってたのよ。でも麻衣ちゃんが学校でいじめを受け始めてから、病室に来ても何も話さなくなった。ただ、そばにいて黙ってるの。発する言葉は来た時の『ただいま』と帰る時の『行ってきます』だけ。麻衣ちゃんはこの病室を家族の家だと仮定して振舞っていたから」 「麻衣…」 「その頃あたりから、美恵子さんに変化が現れた。意識が無いのに何かを喋るように唇を動かすの。多分それは麻衣ちゃんを探してるんだって思った。もしかしたらこれがきっかけで覚醒するかもしれないって。だから私は美恵子さんの意識に入る事を決心したの。本当はあの日、美恵子さんに早く目を覚ましてって話をするだけのはずだった。それが…美恵子さんの麻衣ちゃんを心配する思い装置に底上げされ、半実体化してしまった。たとえるなら美恵子さんを生霊のようなものにしてしまったのね」 「生霊って…そんな事が本当に…?」 「本当かどうかは美恵子さんが一番わかってると思うけど?とにかく、あの日は慌てたわ。生霊となって外に出たと思われる美恵子さんをどう捕まえようかって。生霊化すると肉眼では見えないから、私自身も同じになるしかない思って死ぬかと思う程電流浴びたわ。半ばヤケクソみたいな対処だったけど、なんとか私も生霊になれた」
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