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◆◆一年後◆◆
朝、階段を降りてくる足音に、美恵子努めて明るい声を掛けた。
「麻衣、いよいよ今日は受験ね。緊張しなくていいからね。それからうまくいかなくても落ち込まなくていいわ。リラックス、リラックスよ」
予想通り、麻衣以上にガチガチに緊張している美恵子を横目に、冷蔵庫から牛乳を取り出しマグカップにそそぎ一気に飲み干すと、慌ただしく玄関へと向かう。
「ちょっと麻衣、朝ご飯は?何も食べないとおなかすくわよ。テスト中おなか鳴ったら恥ずかしいんだから。シーンとしてる中、グルグルーなんてねぇ」
自分で言って自分で笑いながら麻衣の後を追う。
「ごはん本当に食べないの?だったらバナナを持っていきなさい…」
いい加減うんざりした麻衣は振り返り、
「試験会場でバナナなんか食べる訳ないでしょ!そんなものいらない。おなかすいたら途中でコンビニ寄るから大丈夫!じゃあね、行ってきます!」
元気な声を響かせて麻衣はドアの向こうへと駆けて行った。
了
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