第二章 学校に行こう

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さほど多くない運行数のバスが3本素通りした頃、美恵子は自分の胸のつかえを出しきった。 田中は途中、美恵子の話の腰を折る事なく最後までウンウンと聞いていたが、すべ聞き終えると驚く事を言い出した。 今から麻衣の学校へ行って様子を見に行こうというのだ。 「だめですよ!そんなことして娘に見付かったら、ますます口聞いてくれなくなっちゃう。それに今は、親がちょっと学校へ行って意見しただけでモンスターペアレンツとか言われちゃうんですよ。それで娘が肩身の狭い思いでもしたら…私、許してもらえない」 そう言って美恵子は激しく首を横に振ると、 「親が子供に気を使ってどうする!」 さっきまでの穏やかな口調から打って変わってピシャリと言われ、美恵子は思わず黙り込んでしまった。 「子供が悩んでたら、親は全力で助けるもんだ。嫌われちゃうなんて言って、何もしないんじゃ解決にならないでしょうが。それに今回はこっそり学校へ忍び込んで様子を見るだけ。先生に会いに行く訳じゃないんだから、そのモンスター何とかにはならないよ」 美恵子は田中の正論に何も言えずに俯くしかなかった。 「さ、今から行こう。テスト期間中なら部活で残ってる生徒もいないだろうからチャンスだよ。行ってみていなければ帰ればいい。とにかくここで話してたって何も始まらないよ」 そういって気の進まない美恵子の尻を叩いた。
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