嘘つきは眼鏡の始まり

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私の一言にその場が凍り付いた。 別に、まんがを否定する気なんてない。 『ワンプライス』、実は好きで全巻持ってるし。 でも、キラキラ星を振りまいて星名さんに話しかけられるのが嫌。 「なにあれ、感じわるっ」 「あ、ほら、そろそろ朝礼始まるよー」 ブーイングをあげる周囲の人間を星名さんが宥めてる。 そういう気の遣われ方も癪に障る。 愛想のない私が悪いんだから、一緒になって非難してくれた方がよっぽどいい。   誰とも話すことなく、黙々と仕事をこなす。 はっきり云って人と話すのが苦手だ。 “花崎ミサ”としてじゃなく、“木の花”のときだけ積極的になれる。 “木の花”は私がなりたいって思ってる、理想の人間なのかもしれない。   食堂の隅でひとり、もそもそと昨日の晩ごはんの残りを詰めたお弁当を食べる。
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