嘘つきは眼鏡の始まり

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ぎゅっと手を握りしめる。 ……「ごめんなさい」 ただ一言が云えなかった。 傷つけるつもりなんてなかったのに。 でも、無神経なあなたがいけないんだよ。 ううん、八つ当たりだ。 もっときちんと、断ればよかっただけ。 「……はぁーっ」 ひとりになるとため息が出た。 会社でも木の花でいられたらいいのに。   結局自己嫌悪に浸りながら仕事をし、むしゃくしゃする気持ちを少しでもはらそうと本屋による。 憂さ晴らしに何冊か本を買い、少し冷静になった。 もうすぐ星名さんが誕生日ってことは、双子の柊人さんも誕生日、なんだよね。 プレゼントとか渡したら迷惑かな。 隣接する大型雑貨店をなんとなくうろうろ。 文房具コーナーで足が止まった。
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