嘘つきは眼鏡の始まり

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「すみません、挨拶がまだで。 木の花です。 今日はお会いできて嬉しいです」 「いえ、僕の方こそ」 にっこりと笑う柊さんは星名さんと違い落ち着いていてどきどきする。 「じゃあ行きましょうか」 「はい」 店を出て柊さんと並んで歩く。 柊さんはちゃんと私の早さにあわせてくれた。 話すときは呟きと一緒で丁寧口調。 会場で選ぶ本は同じものばかりで、気が合うんですねって笑いあった。 一通り買い物を済ませると、会場を出て近くでお茶にした。 「疲れませんでしたか? つい興奮して木の花さんを引きずり回してしまった」 「いえ、私も楽しかったですし」 コーヒーに砂糖とミルクは断られた。
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