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「ふぇ? ……そ、そんなことないよ」
俺の質問に素っ頓狂な声を上げ三奈上センパイは目を左右に泳がせながら答えた。
……この人は本当に嘘をつくのが下手だな。
俺はため息をつくと三奈上センパイを追いたてた。
「変な見栄は張らないでください。落としましたか? 落としたよね? てか落とさない日なんてあるんですか?」
「落とさない日だってあるよ!」
「じゃあ今日は?」
「きょ、今日は……落としました」
三奈上センパイは罪の暴かれた容疑者のように項垂れた。
一応ミステリー研究部と名乗っているだけあってこの部室には多くの推理小説が収納されている本棚があり、それは電気ケトルなどの近くに置かれている。
そして三奈上センパイは砂糖と塩を間違えることはしないが、よく水を電気ケトルに移し替えるときペットボトルのキャップを本棚と床の隙間に落としたりするのだ。
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