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授業の終わりを告げる鐘の音を合図にざわつき始める教室内。部活に行く者、帰り支度をする者、教室に残って友人と雑談する者と、いろいろな人がいる中、ただぼんやりと正面を見つめている少女が一人。
彼女の名前は磯山叶(いそやまかなえ)。派手すぎず地味すぎずな無難な茶髪で、性格も普通に明るく、人付き合いもそれなりに良好。所謂どこにでもいるような平凡な女子高生だ。
けれど、そんな彼女には人には言えない秘密があった。それは――。
『ねえ、叶ちゃん。さっきあの席の男子が叶ちゃんのことちらちら見てたわよー。こんな季節にもう春の気配かしらー?』
(うるさい。そんな視線知らないし、この寒いのにそんな異常気象あってたまるか!)
彼女には、幽霊が見える。
正確には「自分の守護霊が見える」である。他の幽霊は一切見えない。基本的に叶には霊感なんてないのだから。それなのに何故か自分の守護霊だけが見えるのだ。
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