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「さぁ、盗まれたプレゼントを求めて出発だ」
ラッキーやハッピー達トナカイに引かれ、サンタはクリスマスの夜空に繰り出した。
上空から見下ろした不思議な国の都会の景色は、夜空から星達が落っこちて輝いているように色とりどりの電飾やネオンが光っており、町と言う町、家と言う家の軒先にはもこもことした可愛らしい長靴やくつ下が飾られ、白や緑、ピンクや青の雪だるた達がニコニコ笑いながらクリスマスを祝っている。
マッチ売りの女の子は、そんな町中でサンタチックな衣装を着てマッチを売り歩いていたので、すぐに見つかった。
「マッチ一本如何ですか? 寒いよ」
「お嬢ちゃん、そのマッチ全部下され」
サンタはマッチ売りの元に降りると、ニッコリ笑いながらそう言った。
「貴方はサンタクロースさま? 足長おじさんでも買って下さらなかったのに、買って下さるの?」
不思議の国には足長おじさんと言う投資家がいるが、誰もその姿を見たことがない。身寄りがない子供に惜しみ無く投資をして幸せにする人物だが、マッチ売りはその恩恵を受けなかったようだ。
「あなたのマッチが必要なんだ。私に力を貸して欲しい」
「占めて1500ドルになります」
「参ったな。生憎私はお金を持ってないんだが」サンタはプレゼント袋に手を突っ込んで「これと交換して貰えないかな?」と袋から手を出した。
それは、マッチ売りが前から食べたいと思っていた美味しそうに焼けたチキンと、ふっくら膨らんだパイ、温かいスープまで付いている。
「美味しそう。ご馳走、一度食べてみたかったんです」
「召し上がれ」
「折角だから、皆で仲良く頂きましょう。トナカイくん達も寒いなか、頑張ってくれてるんだからうんと食べてね」
マッチ売りは、トナカイ達にそれぞれご馳走を振る舞った。
「有り難う。可愛いサンタと美味しい食事があれば元気百倍さっ!」
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