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元気を蓄え、サンタとマッチ売りのサンタを乗せたソリは、グリンチのいる所を目指して再び空に駆け出した。
「ねえ、サンタさん、グリンチくんのこと、嫌いですか?」
ソリの中、マッチ売りのサンタがぽつりと呟いた。
「確かに、悪さをして人々を困らせてはいるけれど、本当はいい子だと私は思うよ。私はこの国の皆と仲良くしたいんだ」
「そうなんですか、聞いた話だと、家なき子ちゃんはグリンチくんのビルのお陰で家が出来たそうですし、金の鵞鳥の卵が孵化して、金の卵を産む鵞鳥が増えたみたいです、素通りした人が言ってました」
マッチ売りのサンタは、マッチを買わずに素通りした人々がした噂話を思い出しながらも、どうして皆グリンチを嫌うのか疑問だった。
「悪いことばかりじゃないんだ」
「そうですね。それにしても、空から見た都会がこんなに綺麗だったなんて。こうしてプレゼント配りが出来たらなぁ」
初めて見る不思議の国のパノラマに、マッチ売りのサンタは、プレゼント配りの少女になろうかと転職が頭を過った。
「それはそうと、マッチを点けてくれないかい? 明かりが欲しいな」
「はい」マッチ売りのサンタは、マッチを一本擦ると温かい炎が灯る。
夜空に点いた明かりが珍しいのか、後ろから五角形の星に乗った男性がやって来た。
「お二人さんもデートかい?」
白い服に銀色のマント、頭には金の冠を被った人呼んで、星の王子さまと言う端正な顔立ちをした男性は後ろにウェデイングドレスを纏った星のお姫様を連れていた。
この二人は月の砂漠や、ニューヨークでお忍びデートすることで有名だ。
「大事なお仕事だよ」
「そうかい。俺達はこれから、宝島に旅行に行くんだ。それが終わると戴冠式が待ってるからね」
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