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サンタがその旨を説明すると。
「じゃあ、スイッチが再び押されるまではずっとクリスマスイブの壗なんですか?」
理解したマッチ売りのサンタは目を丸くした。
「そうなるね。グリンチも判らないだろうから、やれやれ、彼の悪戯に助けられるとは。ちょっと休憩していこうか」
グリンチが再びスイッチを押すまでクリスマスイブは続くので、サンタにも時間と気持ちにゆとりが出来た。
プレゼントを配る日は休まず、よい子の家を回るので、サンタは滅多にない休憩時間を有り難く使うことにした。ソリを教会の近くに降ろし、たまにはいい音楽を聴くのも良いだろうと、人垣の中に体を滑らせる。
「皆さん今日は僕達、ブレーメンの為にお集まり有り難うございます! 盛り上がってますかー!」
ロバの馬特有の力強い嘶きに会場がわあっと盛り上がる。
「バックコーラスの皆も有り難う。今日は教会にスペシャルゲストさんが来ています。ご紹介しましょう! どこぞから翔んで来た青い鳥さんです」
「なんと!」口に含んだカクテルを盛大に吹き出すのを堪え、ステージに現れた青い鳥に思わず見いってしまった。
盗んだグリンチの元から逃げ出して、教会に来ていたなんて。サンタはそう思いながらも、青い鳥の綺麗な歌を聴きながらお酒を飲むことにした。
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