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青い鳥の歌を聴き、美味しい酒を飲んで休憩を終えたサンタは、青い鳥を肩に乗せ、グリンチの棲み家にソリを走らせた。
暫くソリを走らせると、巨大なビルが見えてくる。中では三匹の子豚や家なき子、更にはヘンデルとグレーテルの二人と一緒にグリンチが美味しいご馳走に、お酒を囲んでクリスマスパーティーに興じている。
「悪戯は企んでないみたいだね、煙突から進入しよう」
「どうかな、ビルのあちこちにトラップを仕掛けてあるかも知れないよ」
ラッキーは心配そうにサンタの顔を見た。
「私もおともします」
マッチ売りもそう言って身を乗り出した。
やがて、ビルの煙突に到着したサンタはふくよかな腹部を煙突の中にねじこませる。が、煙突のサイズはサンタのウェストと同じなのに、スッポリと入りスルスルと落ちていく。
「わあああああっ!」
煙突には油が塗ってあり、滑りやすくなっていたのだ。サンタが落下した所には丸いバランスボールが用意してあり、サンタの体重でコロコロと転がり始める。
「誰か助けてくれええ」
ボールに掴まりながらサンタクロースは叫ぶが、グリンチは更なる罠を仕掛けていた。顔面に白い塊がペチャッとぶつかる。パイだ。
顔を真っ白にしたサンタは、その壗の勢いでグリンチの部屋へ突入した。
部屋では、クリスマスパーティーに興じていた三匹の子豚や家なき子が、サンタに注目する。
「面白い顔だなサンタクロース、ははははははっ!」
開口一番にグリンチが大きな声で笑う。
「いやいや、今日は本当、大ドジ踏んだよ。はっはっはっは!」
笑われたサンタは怒るどころか、自分も笑った。
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