夏の終わり

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そして、夕食後、夜も走る。ほぼ毎日 熱帯夜で気温も湿度も高い。熱中症で 倒れないのが不思議なくらいだ。 洸一が合宿に不参加だと知った京は彼の 練習拠点であるグラウンドを訪ねて来た。 「あー暑い。どうにかならないかしらね、 この暑さ。」 ノースリーブのカットソーを扇子で扇ぎ ながら京は洸一に視線を向ける。 「埼玉は内陸だから暑いんですよ。 扇いでも温(ぬる)い風しか来ないでしょ。」 洸一は失礼、と言って彼女に背を向け、 汗に濡れたランニングシャツを着替えた。 「こんなに暑いところで走り込みなんて、 浜崎さん、何考えてるの。」
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