夏の終わり

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それが前例のないことでも一歩踏み出す ことに躊躇しない。だが、それが洸一の 人格として受け入れられているのか、金 メダリストの我が儘として仕方なしに 認められているのかはわからない。 夫に愛され守られてその人の子どもを産み 育てることは女の幸福のひとつには違い ないが、その幸福は夫である男の気持ちに 左右される。自分が本当にやりたい仕事を 求めて来た京にはその生活は博打のように 思えた。長か半か。或いは表か裏か。 大事にされる女を羨む気持ちと、経済的な 自立を果たせない生き方を敬遠する 気持ちが交錯した。
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