夏の終わり

9/36
前へ
/36ページ
次へ
杏奈は結局八月に入るまで常に吐き気に 襲われて食事らしい食事ができなかった。 喉を通るのは海草と果物ぐらいで、自分 でも大丈夫なのか心配になるほどだった。 ところが、今度は一転して空腹感に 悩まされた。 寝室で横になっていると洸一が麦茶を 持って来た。 「ありがとう。」 「だるいのは取れないみたいだね。」 「うん。すぐに横になりたくなる。でも、 気持ち悪いのがなくなっただけ楽になった。」 「君はずっと忙しかったから。」 「あれは何だったんだろう。デトックスか 何かかな。」 「ひとまず安心したけど、今度は真逆って 不思議だね。」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加