智彦の場合

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朝早く、誰にも気づかれないように登校した。 屋上なんてものはないが、登ってはいけないような上へ行けるハシゴがある。 どこへ通じるかわからないが、登って行った。 急に風が吹いていて、手が滑りそうになった。 けれど、これから死ぬ身だ、登りきれなくて死んだとしてもどうでもよかった。 屋根の上にあるタンクについた。 業者しか登らないのだろう。柵もなにもない。 そこから下を覗く、どこに落ちるように飛ぼうか。 正面玄関に落ちるように飛ぼう。そのほうが印象でかいし、多くの人が見そうだ。 躊躇なく頭から落ちた。 下を見ても高くてやめようなんて考えにはならなかった。 後ろ向きに、落ちた時に顔が見えるように、頭から 落ちた。
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