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そこに現れたのは薄い本。表紙からしていかがわしい物と分かる。
「まず、学校に持ってくるもんじゃ無いよね、それ?」
恵里は右手で親指を立てる。そして爽やかな笑顔でその親指を人差し指と中指で挟んだ。
「我慢できんかった」
「いや、押さえろよ、性欲くらい。爽やかな笑顔では誤魔化せてないから」
「我慢は良くないッ! 推しキャラにぶっ込みたい欲求は特にね! 嫁と寝たくて何が悪いッ!!」
「朝から開き直ったよ。この残念美人」
ボケる恵里と突っ込みの沙希。この構図がいつもの光景であった。恵里は同人誌をカバンに仕舞った。
「それに、あんた彼氏居るでしょうが。まさかバイ?」
「んなわけないでしょ。今年のバレンタインは後輩の女の子からたくさん貰ったけど、普通に男が好きよ。ぶっ込んでグチョグチョにしてアヘ顔させたいのは二次の嫁だけだから安心して」
「安心できないしそんな真剣な顔で朝から言うことか。それになんか増えてるし。後輩連中が気の毒だわ」
「私は真剣よ。昨日の体育みたいに」
「そうみたいだね。二日目だったのに参加してたもんね。納得してしまう自分に不本意だけど」
気付けば教室が賑やかになってきた。時計を見れば8時30分。そろそろクラスメイト連中が集まり始める頃合いである。
沙希は担任が来る前に胸元のボタンを止めてネクタイを締め直した。
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