SS.2「古き思い出」

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駐車場に止まったスカイラインのドアが開き、着替え終えた恵里が降りてきた。 赤チェックのベレー帽に合わせたチェック柄のミニスカート、濃いめのストッキング、ボタンの付いた黒のニーハイブーツと同じコンセプトのデザインの黒い手袋。右腕には機械のような真っ赤な腕輪。 そして何より特徴的なのは、胸の下、いわゆる下乳がチラ見するノースリーブの黒いシャツ。 沙希はすぐに何のキャラのコスプレか分かった。 「ア○サ・イリーニ○ナ・ア○エーラ?」 「嫁の名前をフルで言えるとか、ドン引きです」 「なりきってるんだかなりきってないんだかハッキリして」 「ヌーブラとワイヤーと両面テープの三重の対策済みだから、胸チラは期待しないでね。あ、見せパンはストッキング越しでも分かるように白ね」 くるりと回って見せた。確かにシャツは遠心力や風に負けずにピクリともしないが、隙間からヌーブラが見えないのはしっけり計算されている。対してスカートはすぐ浮き上がるほど緩めだが。 「素に戻ったよ。しかし、背が高いしスタイル良いから映えるね」 露出が激しいコスだけに、元のスタイルが如実に表れてしまう。その点、恵里は長身で引き締まっていながら出るとこは出てる素晴らしい身体を持っている。 顔も童顔でありながら彫りが日本人にしては深くノーメイクでも整った顔立ち。本人はやや吊り目気味なのを気にしており、垂れ目に見えるようなメイクを普段しているが、今日は吊り目を強調したメイクだった。 「だから沙希もコスプレすれば良いじゃ無い。アレに」 「エロゲーのキャラはイヤだって言ってるでしょ。さっさと行くよ」 「待って。仕上げがまだ残ってるわ」 そう言うと、リュックからコンタクトケースを取り出した。 碧眼になるカラーコンタクトを慣れた手つきで眼に乗せると、さらに日本人から離れた容姿になる。ちなみに視力は良いらしい。 「これより作戦区域に入ります。援護を御願いします」 手渡されたデジカメ。沙希は頷いた。ここからは戦場だ。生半可な覚悟だと、雰囲気と人の波という荒ぶる神に喰われてしまうのだ。
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