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「こんな本を堂々と……、ドン引きです」
「ありがとうございますッ!!」
サービス精神旺盛なのか、なりきっているのか、はたまた素なのか分からないが、蔑んだ眼とトゲのある言い方だが、同人誌の作者と売り子が喜んでいるので良しとしよう。
「こ、こんな悪い文化は回収です。私が処分させていただきます」
やや顔を赤らめながら同人誌を手に取るア○サ(恵里)。テーブルには代わりにお釣りが出ないように小銭を置くのを忘れない。
この茶番の一部始終を動画を撮っていたのだが、恵里は完全に成りきっている。というより、ア○サの人格を再現しているといった方が正しい。
恵里であって恵里では無い。彼女には女優の才能があるのかもしれない。サインが出て録画を止めた。
「ご協力ありがとうございます! お礼に写真はどうですか?」
「こちらこそ。願ったり叶ったりだよ」
写真撮影も沙希が担当する。恵里のデジカメと同人誌作家のケータイとサークルのデジカメ。計三枚のフレームに収めた。
「作品、期待してます。また会いましょう」
笑顔を見せながらサークルと別れを告げ、次のサークルの列に並ぶ。
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