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ヴィヴィオのハロゲンライトと大きなフォグライトが展望台に入ってきた。シルビアの横に止まる。
「悪い。遅れてしまったな」
「大丈夫だよ。いつも待たせてるから、たまには待つのも……」
ヴィヴィオから降りた俊哉からコンビニの袋が投げ渡される。
中には、缶に入ったカフェオレと紙袋に包まれた、食べ歩きできるサイズのフライドチキン。どちらも袋を通して暖かさが伝わり、冷えた指先を温める。
「冷めないうちに来れて良かった」
俊哉の手には、同じフライドチキンと缶のミルクティー。
「ありがとっ!」
二人で並んで夜景を眺めながら、恋人と食べるコンビニの鶏肉。BGMはクルマのアイドリング。こんな贅沢はなかなか無い。
「メリークリスマス、俊哉」
「ああ、メリークリスマス」
二人の白い息が重なった。二人だけのクリスマス。邪魔する者は存在しない。
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