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「渡来くんに告白したときの断り文句。身も心も叶多になったら乗り換えてもいいんだって。叶多に別の男ありって噂あったでしょ。あのとき告白した子がそう云ってた」
ぶ、と永が堪えきれずに吹きだす。
睦美たちもやってきたときの不穏さはどこへやら、おもしろがって立ち去った。
「なあんだ、渡来、あのときの分身の術ってそのまんま断り文句だったわけだ」
「べつに断り文句ってわけじゃない」
陽は不機嫌な顔でむっつりと云った。
「へぇ、本気だってさ。八掟、神様でも出てきてさ、分身の術、一回きりで使わせちゃるってぇときは何体いるか、よーく考えるべきだな」
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