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今時普通にある自動ドアではなく引き戸になっていて、開けるとたか工房みたいにガラガラと音が立つ。 居酒屋といえばこんなふうでもおかしくないと思うけれど、確かに孔明の第一印象ではこういう場所はまず思い浮かばない。 店内は酔っぱらいたちの吠えるような笑い声があがったり、豪快な相づちがあがったりとにぎやかにざわついている。 叶多たちを認めた店員が案内すべく寄ってきて、永が予約名を伝えると、どうぞ、と先導した。 狭い通路の両脇にオープンな客席があって、叶多たちはその間を通って個室になった座敷部屋に通された。 「叶っちゃん、いらっしゃい」 戸が開いたとたん、則友が軽快に歓迎した。 「則くんも来てたの!?」 「叶ちゃん、おれもお邪魔」 貴仁が端から顔を覗かせた。
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