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叶多の誕生日から一週間、五月も下旬に入って暖かい日が続いている。 いまみたいに、夜になるとちょっと肌寒くもあるけれど、すごしやすくてなんとなくほっとした気分になれる――はずが、少なくとも二つ、気にかかっていることがあって、叶多はいまいち気分が晴れない。 こういうのを五月病と云うんだろうか。 「叶多、ここじゃない?」 ユナが立ち止まって暖簾をかけた店を指差した。 見ると、“相合い御膳”という文字がゆったりとはためいている。 「うん、ここみたい」 「孔明って奴、高飛車なお坊ちゃまのわりに庶民的だな」 陽が店構えをざっと眺めてつぶやいた。
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