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それに僕は、ノロノロと応接セットまで足を進める。
そして、お母さんと並ぶお父さんの前に立った僕は、
彼らに向かって勢いよく頭を下げた。
「初めまして、近江 冠汰と申します。
只今、夏海さんと交際をさせて戴いており、
この度は、結婚のお許しを戴きたく伺いました」
少し前にネットで色々調べて、すごく考え抜いた挨拶。
もう何度も、何度も一人で練習したこの言葉を
僕は、とにかく一気に口にした。
すると間もなく、その下げた僕の頭上から穏やかな声がかけられた。
「まぁ、まずは、お掛けください」
それに恐る恐る顔を上げると、
柔和な笑顔の二人が、僕に後ろのソファを薦めてくれる。
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