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「許してくれちゃうんだ、俺のこと」
「うん。ねえ、昂さん」
「なに?」
「好きかも」
「なにが?」
「…昂さんのこと」
長い長い沈黙。
そして昂さんも華子ちゃんを真似て言う。
「きっ、聞こえなかったからもう一回」
「嘘、絶対に聞こえてたよね?」
「聴覚的には入ってきたのかもしれない。
でも、意識が飛んでたんだよ。
心の準備したから改めて、ね?」
「ああん、もう。一回だけだよ」
耳打ちしようと思ったら、
真正面に顔を近づけてきて、
それをさせてくれない。
仕方なく覚悟を決めて言った。
「昂さんが好き」
「俺も芹香ちゃんが好き、大好き」
「私も大好き」
「俺も大大大…」
その後の言葉は聞けなかった。
私が唇で塞いだから。
「きゃあ、芹香さんたちキスしてるッ」
「こ、こら華子。俺らは部屋に戻るぞ」
気を利かせて西村さんと華子ちゃんは、
リビングを出て行った。
後に残った私たちは、
骨が折れそうなほど互いを抱き締め合い、
長い長いキスをした…。
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