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離れようとした瞬間、
昂さんの唇が乾燥気味だったせいか、
上唇が名残惜しそうにくっついてしまい。
キスの余韻を楽しもうと思ったのに、
それが滑稽で2人して笑う。
『ふ』のカタチのままで、
彼はペロリと自分の唇を舐めて濡らし、
再び私に近づいてきた。
あ、
キスされてる。
…そう思ったのも束の間。
慣れた手つきで体の奥に触れられ、
悪戯っ子みたいな顔をして彼は言うのだ。
「すごくぬれてる。
したい?芹香ちゃん」
「…んぅ」
それは返事と言うよりも、
獣が切なく鳴いているような声で。
ああ、自分は発情しているんだと思った。
体の奥がジンジンして熱い。
つながりたい、ねえ、入れてよって。
優等生のはずの私の箍(タガ)は、
こんなにも簡単に外れてしまうのだ。
そのまま私の部屋に移動し、
初めて自分から昂さんに跨った。
…ずっと受け身だった私が。
『させてあげている』と思っていた私が。
今はただ、
この人に気持ち良くなって貰いたくて。
「芹香、動くよ?」
「あ、あん、あっ、あああ」
こんな声、いやらしい。
ああ、もう、いやらし過ぎる。
「芹香、気持ちいい?」
「ん、んぅ」
…結局、気持ち良くなって貰うつもりが、
とんでもなく気持ち良くなってしまい。
こんないやらしい自分も、
案外、嫌いじゃないなと思った。
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