[芹香編] 第5章 芹香side

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小熊サイズのその人は私たちを見て、 ニコリと笑いこう言った。 「お帰り~!」 『ただいま』と昂さんが答え、 『初めまして』と私が自己紹介する。 そこには卓袱台が1つ有るだけで、 その他の家具は一切ない。 「ごめんなさい、芹香ちゃん。 もう引っ越しを済ませちゃって、 元々この家にあった卓袱台以外は無いの。 座布団も無いけど許してね」 「いえいえ、どうぞお構いなく。 あ、ご結婚、おめでとうございます」 叔母さんと婚約者は2人で声を合わせ、 『ありがとう』と返事する。 昂さんがどこからか ペットボトルのお茶を持ってきて、 私と婚約者に渡し。 それをゆっくりと飲みながら、 婚約者が私に言った。 「あ、俺の自己紹介がまだだったな。 可愛くないけど、カワイイチロウです。 漢字で書くと、こうね」 差し出された名刺には、 『河合一郎』と記載されている。 訊けば実家で犬を飼っていて、 その名前がチロだったのだと。 「チロが死んで、 入れ替わりで俺が生まれたらしいんだ。 だから『可愛いチロ』でカワイイチロウ。 いやいや、実話なんだよ、これ。 ウチの両親って有り得ないと思わない?」 鉄板ネタなのだろうが、 私と昂さんは大笑いし、 それから夜遅くまで皆んなで酒盛りした。
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